第33話 投球障害肘で発見される「上腕骨小頭離断性骨軟骨炎」は野球を諦める必要はない

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 先日、クリニックに足を運んでくれた中学生の選手からこんな発言を聞きました。

「別の病院を受診して、上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(以下OCD)と診断され、医者から野球をやめるように言われました。」

 いやいや、どんなに心無い発言だよ!

 目の前になんとか野球を続けたい、肘を良くしたいと願って受診した選手を、目の前で一言で切り捨てる。

 そんな医療の世界があってたまるものか、と。

 OCDはスポーツを諦める必要はありません。しかし、適切な対応をしなければスポーツどころか、日常生活や将来に影響を及ぼす可能性を含みます。

 今回は、そんなOCDについてです 

上腕骨小頭離断性骨軟骨炎とは

 よく野球をやっている選手でみられるため、「野球肘」と括られることもあります。が、野球特有のものではありません。

 が、今回は「投球障害肘」として捉えるため野球に焦点を置いて書きます。

 OCDはいまだに明確な原因はわかっていないと言われています。遺伝性や投球ストレスの外的因子などなど。

 主な病態としては骨軟骨病変で、軟骨や骨が壊死し遊離するものです。だいたい野球肘と診断されるうちの2−3%と言われています。

 病気は主に初期、進行期、終期に別れその程度によって保存療法、手術療法の選択になります。

 初期の発見であれば保存療法での治療が選択されやすく、進行期以降であれば手術の選択になることが多い印象です。

 詳しい病気分類についてはこちらをご覧ください。

上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の発見に至るまで

 初期の段階では疼痛がないことがほとんどのため、進行期に移行して肘の可動域制限投球時痛を自覚し、病院に受診してから発覚することがほとんどです。

 進行期以降は手術の選択となることがあるため、野球選手が肘の痛みを訴えた際には、経過を見ずなるべく早く受診しましょう。

 とはいえ、大事なのは早期発見、早期治療です。痛くなってからではなく、痛くなる前に発見することが大切です。

 最近は色々な団体で「野球肘検診」が行われています。野球をやっている選手を対象し、超音波検査にて骨状態を確認します。

 私のクリニックも肘検診を通して、早期発見に努めています。

 肘検診を行う中で発見し、受診を促すことが多いです。とても大事な活動だと感じており、浸透させていくべきものだとも感じています。これに関しては長くなるので次回にでも書きます。

上腕骨小頭離断性骨軟骨炎の治療

 OCDと診断を受けても夢を諦める必要はありません。実際に私のクリニックでもOCDの患者さんは、競技に復帰してクリニックを卒業していきます。

 ただ、適切な対応をしなければ症状が悪化することももちろんあります。この辺は、選手だけでなく保護者や指導者の理解も大切です。

 保存療法の選択となった場合、一定期間のノースロー期間を設けます。また、肘に荷重をかけるような動きも控える必要があります。ここの我慢がなかなか大変だけど、非常に重要です。

 投球を続けていると、症状の進行につながり患部状態が悪くなってしまいかねません。ノースロー期間は必ず守りましょう。

 また、定期受診を心がけてレントゲンで骨の状態をチェックしてもらいましょう。

 手術をするにしても、保存で経過をみていくにしても、肩甲胸郭関節や下半身の柔軟性、連動性の改善が重要になります。

 投げ始めるタイミングを待っている間に、少しでも自分自身の身体機能の改善をはかり、競技で満足にプレーできるように備えましょう。

まとめ

 上腕骨小頭離断性骨軟骨炎は、十分に治療可能な疾患です。夢を諦める必要はありません

 ただ、早期に見つけるのが難しく痛みに気づいた頃には手術を選択することになるケースがあるのも、また事実です。

 早期発見、早期治療に繋げるためにも地域で開催している「野球肘検診」があれば、ぜひ参加してください。

 また、肘の痛みを自覚した際には、なるべく早く病院を受診するようにしましょう。

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