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ハムの肉離れ後の動きがイマイチ。見直すべきはハムだけじゃない!

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以前、ハムストリングスの肉離れに関しての記事を書きました。以下に載せておきますので目を通してみてください。

前回は再発予防という観点で記事を作成しました。今回は別の視点で書きたいと思います。

  • 肉離れから復帰したけど受傷前に比べると思うように動けない感覚がある
  • 痛みはないけど違和感が残っている
  • 100%の出力を出した時にもう一度、肉離れしそうな気がする

こんなことを思ったこと、聞いたことはありませんか?この感覚、あながち間違っていないことが多いです。

これらは実際に私が現場で耳にする言葉です。他院で治療して復帰したもののパフォーマンスが戻らない選手や、軽度損傷のため2週間ごとの画像検査のみ定期診察をして終了になるケースなど様々です。

ただ、いくら軽度の損傷だからといって身体機能に対する治療が必要ないと私は思いません。怪我をしたのにはアクシデント以外に、身体機能や姿勢制御に原因がある可能性が考えられます。

それらの原因や身体の弱点を探すのが私たちの役目ですので!私の中でハムの肉離れ後に満足に動けない要因には以下の4点がパッと思い浮かびます。

  • 怪我後の身体機能低下が改善していない
  • 怪我前からの大腿四頭筋とハムストリングスの筋力比のアンバランス
  • 骨盤のポジションや動作時の姿勢制御不良
  • 怪我後に組織の瘢痕化が起きている

今日は「肉離れ後に思うように動けない時」に考えられる要素について、深掘っていこうと思います。

もくじ

1、怪我後の身体機能低下が改善していない

まず挙げられるのが身体機能低下の残存です。大きくは以下の3点が挙げられます。

  • ハムストリングスの柔軟性低下
  • ハムストリングスの筋出力低下、左右差の残存
  • 殿筋や下腿三頭筋の筋力低下

ハムストリングの柔軟性低下

1つ目は柔軟性の低下です。誰しもが初めに思い浮かぶことかと思います。怪我の後は多かれ少なかれ、ストレッチされた際の患部の痛みが伴いますし、一定期間続きます。痛みが引いたことを復帰の起点としてしまうと、柔軟性の再獲得がなされていないうちに動くこととなり、違和感へとつながります。加えて、後述する「組織の瘢痕」があると左右での可動域の差や怪我前との可動域の差が生じ、イメージと実際の動きが異なることも出てきます。

ハムストリングスの筋出力低下、左右差の残存

2つ目は筋出力の低下や左右差の残存です。怪我の後は痛みで力が入らないことや、遠心性収縮を避けなければいけない時期が発生します。

遠心性収縮とは・・・筋肉が引き延ばされながらも、その伸ばされる力に抵抗するように収縮すること。
例)アームカールでゆっくり肘を伸ばすときの上腕二頭筋の収縮形態

筋力トレーニングが不十分なままでの復帰は再発率やパフォーマンス低下に直結します。もちろん、適切なタイミングで適切なトレーニングを行わなければ効果はありませんし、逆に症状を悪化させることも考えられるので専門家に判断を仰ぐ必要があります。

一言でハムストリングスの肉離れと言っても、ハムストリングスの中で半腱様筋を損傷したのか大腿二頭筋を損傷したのかでトレーニングのアプローチは変化します。レッグカールをやるだけ、ノルディックハムをやるだけでは不十分なんです。

膝を曲げる筋力、太ももを後ろに蹴り上げる筋力の両者が十分に発揮される必要があります。どちらか一方だけをやっていても筋出力は改善しませんし、左右差が生じます。

ハムストリングスの筋力に左右差が生じると、弱い側のハムストリングスの肉離れ発症率が高くなることも報告されています。加えて再受傷に至らないにしても、左右差が生じると言うことは片側動作を交互にした際のアンバランスが生じることになります。つまり、実際に動作をした時の違和感につながるのです。

肉離れ後は適切なリハビリ、適切なトレーニングが必要不可欠なのです。

殿筋や下腿三頭筋の筋力低下、筋力不足

3つ目は共同筋の筋力低下、筋力不足です。これは怪我前からあるケースと怪我後に生じるケースの2ケースが考えられます。

怪我前からあるケース

怪我前から大殿筋や下腿三頭筋の筋力が不足しているケースは、それが原因で肉離れをした可能性も考えられます。なぜかと言うと、大殿筋と下腿三頭筋はハムストリングスと一緒に働くためです。もう少し詳しくお話しします。

大殿筋は太ももを後ろに蹴り上げる動き(股関節伸展)を主で行います。下腿三頭筋は膝を曲げる動きに作用します。

この2つの動きはハムストリングスも担う動きです。つまり、それぞれが一緒に協力して動作を遂行しているです。

では、この大殿筋と下腿三頭筋がサボったらどうでしょうか?ハムストリングスが1人で一生懸命頑張らなければいけなくなります。

結果として過剰に働かなければいけなくなり、オーバーワークとなります。これが肉離れや動作の違和感につながるのです。

怪我後から生じるケース

怪我後に生じるケースは、肉離れの痛みによりそれまでの活動量よりも低下することによる筋力低下が挙げられます。痛みが強ければ膝を曲げる動きで痛みが生じたり、太ももを後ろに蹴り上げる動作で痛みが出たりします。

そうすると中々トレーニングができないですよね。トレーニングができない時間、競技ができない時間が続くと筋肉も働かなくていいや、となってしまい筋力の低下を引き起こすのです。

このケースにおいても、適切なリハビリやトレーニングを行うことが有効です。痛みが出ない範囲でのトレーニングや患部にストレスの少ないトレーニングから始めて、修復過程に合わせて段階的にトレーニング強度を上げていくことが重要です。

2、怪我前からの大腿四頭筋とハムストリングスの筋力比

次に挙げられるのが大腿四頭筋とハムストリングスの筋力の比率です。よく論文などでは「H/Q 比」と表現されています。今回の趣旨とは少しずれますが、このH/Q比が60%を下回るとハムストリングスの肉離れや再受傷に相関がある、つまり深く関係していると言われています。

H/Q比が60%以下、つまり大腿四頭筋に対してハムストリングスの筋力が極端に低いと関節のコントロールがスムーズにできなくなります。基本的に人間の身体の筋肉が作用する際には、主動作筋に対して拮抗筋が働くことで動作コントロールをしています。

実際の例を挙げると、膝を強く伸ばす動きをする際に大腿四頭筋が強く縮まるように力が働きます。この時に、過度に関節に負荷がかからないよう、その拮抗筋であるハムストリングスが、筋肉が伸ばされながらもその力に耐えるように力を働かせます。

このような動作をコントロールをする局面で、大腿四頭筋の筋力に対してハムストリングスの筋力が極端に弱ければ、運動時の関節のコントロールがうまくできず、パフォーマンスの低下や違和感につながることが予測されます。

3、骨盤のポジションや動作時の姿勢制御不良

3つ目は静的姿勢における骨盤の過度な前傾・後傾位、動的姿勢のなかでの過度な前傾・後傾位です。それぞれを修正するのにアプローチが変わるため、これをやれば良いと言うものはありません。そのため、アスレティックトレーナーやスポーツリハビリを行っている理学療法士にみてもらうとよいです。

静的姿勢における骨盤の過前傾・後傾

よく「反り腰」と言う言葉を聞くと思いますし、自分が反り腰だと感じている人もいるかと思います。反り腰の多くのケースは骨盤が過度に前傾していることが確認できます。

骨盤が過度に前傾していると言うことは、坐骨が正常よりもやや上方に引き上がることになります。すると、ハムストリングスが引っ張られる形になるのです。

結果として、何もしていなくてもハムストリングスにストレッチがかかった状態になり、動作時に張りやすかったり、大きな可動域で腿を使いづらくなります。

逆に骨盤が後傾しているケースは、坐骨が下方に下がることでハムストリングスが縮こまります。筋肉が縮こまると十分な張力が発揮されず、力不足になるのです。また、骨盤後傾に伴い殿筋も働きづらくなるため、股関節伸展の力が発揮しづらくなります。

動的姿勢における骨盤の過前傾・後傾

運動の中で「姿勢制御」という言葉があります。姿勢といえば「立ち姿」が先に思い浮かびますが、姿勢制御とは「運動するために必要なさまざまな機構を調整する能力」と言われます。

実際のスクワット動作で考えてみましょう。

  • 重心の左右調整
  • 股関節、膝関節、足関節の曲がる角度とタイミング
  • 脊椎の動きの調整
  • 骨盤の正中位保持

これらの要素を、五感で感じている情報から脳で判断して身体の動きに反映させながら運動を制御していくのです。

少し脱線しました。姿勢制御がうまくできないと、動作の局面で骨盤が過度に前傾もしくは後傾してしまいハムストリングスへの過負荷や、動作不良を引き起こします。これも結果として、運動時の違和感につながるのです。

4、怪我後に組織が瘢痕化している

最後は「組織の瘢痕化」です。少し専門的な言葉を使うと過形成瘢痕が起きている時は組織同士の動きが出づらくなり、筋肉の収縮や伸長が不十分となります。すると、筋肉自体の出力が下がるためパフォーマンス低下につながると考えます。

少し難しい方に向けにいうと、筋肉の損傷部位にかさぶたが形成されます。筋肉はもともと弾力性に富んでおり伸び縮みをすることで力を発揮します。かさぶたが強固に形成されると、伸び縮みができない範囲が生じます。かさぶたの部位は伸び縮みしないため、筋肉全体でのスムーズな収縮と伸長ができず、十分なパフォーマンスを発揮できないのです。

まとめ

今回はハムストリングスの肉離れ後に思うように動けない選手がいる時に、スポーツ現場で働く理学療法士の私が考えるポイントについてまとめてみました。

  • 怪我後の身体機能低下が改善していない
  • 怪我前からの大腿四頭筋とハムストリングスの筋力比のアンバランス
  • 骨盤のポジションや動作時の姿勢制御不良
  • 怪我後に組織の瘢痕化が起きている

どれか一つが原因のこともあれば、複数の要素が重なっているケースもあります。

「軽い肉離れだから少し休んで痛みがなくなったら復帰しよう」という気持ちはわからなくありません。しかし「痛みが改善した=治った」ではありませんし、実際に動いてみて何か違和感があるケースがほとんどではないでしょうか?

普通に動いているようで、実際はどこか違和感があったり、前よりも競技成績が悪かったり。

怪我の後には必ず身体機能に変化が出ます。その微細な変化を修正、改善して競技復帰することは簡単なことではありません。

だからこそ、自分でどうにかしようとするだけでなく、その道のプロに頼ってはどうでしょうか?

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