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【野球選手向け】原因は柔軟性?ハムストリングス肉離れ再発予防案!

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野球選手の怪我といえば真っ先に来るのは投球障害かと思います。いわゆる野球肘や野球肩という怪我ですね。でも、実際の発生頻度でいうとどうでしょうか。ある報告によると「メジャーリーグ選手の怪我を調べて一番多かったのは大腿二頭筋損傷(ハムストリングス肉離れ)」というデータが出ています。

意外と思った人も多いのではないでしょうか。まあ、そこのデータはともかく。今回のテーマは「ハムストリングス肉離れの再発予防」についてです。実は、ハムストリング肉離れの経験のある競技者を対象に再発率を調べた研究によると20%前後が再発しているとのこと。この20%を高いと捉えるか低いと捉えるかですが、私は再発率が高い傾向にあると感じます。

せっかく復帰したのに再度怪我をしてまた治療生活に後戻り、大事な試合前に再受傷して満足いくプレーができないなんて経験したくありませんよね。今、もしも肉離れをしていて復帰する前の選手であればぜひ最後まで読んで再発リスクを少しでも減らして欲しいです!

柔軟性だけでは不十分!筋力、特に遠心性収縮が鍵!

よく肉離れといえば「身体が硬いからだよ〜」って言われませんか?クリニックに受診した選手でもドクターに「肉離れしてますね」と言われた際に、横にいる保護者が「あんた身体が硬いからだよ!」なんて言葉をよく耳にします。でも、それだけではないんです。

いくら柔軟性が高くても肉離れはします。運動時に急激に筋肉が伸ばされた際に抵抗できる力がなければ、そのまま筋肉が引きちぎられてしまいますので。

大事なの引き伸ばされた筋肉をコントロールできるだけの筋力があるかです!つまり、遠心性収縮の要素です。

遠心性収縮:筋肉が力を発揮しながら外力によって引き伸ばされる収縮様式のこと。例)肘を曲げてダンベルを持った状態から、ゆっくりと肘を伸ばしながら下ろしていく動作。上腕二頭筋が遠心性収縮をしている。

そのため、ハムストリングスの遠心性収縮エクササイズとして「ノルディックハムストリングス」を現場でやっているのをよく見かけます。が、私的にはノルディックハムストリングスだけでは不十分と感じます。

なぜならば、ノルディックハムストリングスは半腱様筋などの内側ハムの運動率が高いためです。よく怪我として多いのは大腿二頭筋(外側ハム)のため、私はノルディックハムストリングスに加えて、ルーマニアンデットリフトなどを選択します。

これだけやっておけば、というメニューはありません。が、少なくとも上記2つのエクササイズはハムストリングスの遠心性収縮エクササイズとして有効なので選択肢として持っておくことに損はないです!

ハムストリングスの筋力が強くても肉離れは発生する

さっきは遠心性収縮でハムストリングスを鍛える、って言ったのにどっちやねん!ってツッコミが聞こえてきそうです。笑

私自身が臨床やスポーツ現場でよく目にしたり、耳にするのは「筋力はまずまずあると言われて復帰したけれど再発しました」なんて選手です。他院でリハビリを受けて、筋力チェックで問題なく復帰したけれど、、、なんて選手もよくいます。

そういう選手に見られる中で特に多い共通点が2つあります。

  • 大臀筋の筋力が弱い
  • 骨盤が過度に前傾している、前傾しやすい

この2点はハムストリングス肉離れをする選手で本当によく見られます。なぜ悪いのかを解説します。

大臀筋の筋力が弱い

大臀筋とハムストリングスはどちらも股関節伸展(脚を後に引く動作)に作用する筋肉です。これらの筋肉はジャンプやダッシュ、ストップ動作時に非常に強く、素早く力を発揮する必要があるのです。大きな仕事を成し遂げるために、2人(大臀筋・ハム)で1つの役割を担っているのです。一方がサボればもう一方がその分頑張らなければいけなくなるのです。

例えば、100の力を発揮する際に大臀筋が20の力しか発揮できないとします。すると、ハムストリングスは80の力を発揮せねばならず負担が大きくなるのです。この状態が何度も続いてしまうとハムストリングスは疲弊して怪我をしてしまいます。

つまり大臀筋が弱ければ弱いほど、ハムストリングスへの負担が増えてしまい怪我のリスクは増加するのです。逆にいえば、大臀筋を強化することでハムストリングスの負担を軽減することが可能になり、怪我のリスクを減らすことが可能になるのです!

骨盤が過度に前傾している、動作時に前傾しやすい

骨盤が前傾するとハムストリングスは伸長されます。これは骨盤にある骨の坐骨にハムストリングスが付着しているためです。実際に自分でやるとわかりやすいと思いますが、足を伸ばした状態で座り、骨盤を前側にグイッと起こすとハムストリングスが伸びるのがわかると思います。

これがなぜ肉離れにつながるかというと、骨盤が前傾しハムストリングスが伸長された状態で収縮をしなければならず過剰な負担となるからです。

前半部分で「遠心性収縮が鍵」と述べました。遠心性収縮は非常に大きな力を発揮する一方で肉離れを起こしやすい収縮様式でもあります。通常コントロールできるはずの力でも、骨盤前傾の要素が加わりハムストリングスが伸長されると想定より大きな力が必要となるため、通常よりも強い収縮が求められます。結果として、過剰な負担となり肉離れを起こしてしまうのです。

この前傾しやすい要素には、大腿四頭筋・腸腰筋の柔軟性低下や腹筋群の筋力不足が挙げられます。復帰前の準備期間にこの辺りも確認できると良いです!

まとめ

ハムストリングス肉離れは野球選手によく見られる怪我の1つです。また、再発率が高いことが特徴です。そのため、復帰するにあたって1つでも多く再発リスクとなり得る要素を減らす工夫が必要になります。単に痛みが改善したから、柔軟性が改善したから復帰しましょう、なんてしたらすぐに再発してしまいます。

もちろん柔軟性やハムストリングスの筋力も必要ですが、そこを改善するのは当たり前です。もう一つ踏み込んで、ハムストリングスの遠心性収縮エクササイズ、同じ股関節伸展作用を持つ大臀筋の強化や、骨盤過前傾の抑制などの再発リスクを改善する取り組みをぜひ取り入れてみてください!

皆さんの復帰や肉離れ予防の参考になればと思います。

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