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【選手向け】球速アップ、肩を強くするなら腱板を鍛えるは嘘!

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前回の記事では腱板(よく言うインナーマッスル)を鍛えるには下準備と工夫が必要だという記事を書きました。簡単に内容をまとめると以下の通りになります。

  1. 投球動作を繰り返すことで身体は同じ筋肉を何度も何度も働かせる。
  2. 繰り返し使われた筋肉は緊張が高くなり姿勢不良へとつながる。この姿勢不良や緊張のバランスの変化がある状態では、適切なトレーニング効果を得ることができない。
  3. トレーニング効果を最大限かつ効率的に得るために、下準備として簡単なストレッチやエクササイズを用いて筋緊張の状態や姿勢不良を改善する。
  4. 良状態でトレーニングに臨むことに加え、関節の軸や圧、チューブを使用し適切なポジションを保ちやすくするような工夫を行うとより効果的。

詳しくはリンクを貼りますので前回の記事を読んでみてください!

よく「球速を上げる、肩を強くするにはインナーマッスルを鍛えろ!」なんて言葉を耳にしたり目にします。でも、それって本当でしょうか?私はそうは思いません。

もちろん腱板を鍛える必要があるのは確かです。そして鍛えることで球速upや肩力upに少なからず貢献する可能性も考えられます。ただ、じゃあチューブでガシガシ腱板を鍛えただけで球速がプラス10km/h、遠投プラス20mなんて言うのはまず考えられないですよね。

そんなのができたら誰でも強肩になってるし、150km/hを投げられる投手になっているわけですから。じゃあ球速を速くする、肩を強くするにはどうすれば良いかについて私なりの考えをぼやいていきます。

球速を上げる、肩を強くするために必要な要素

球速をあげる、肩を強くするには「肩周りを強化する」だけでは達成されません。ただ肩だけを鍛えていると、むしろ怪我のリスクとなり得ます。必要となるのは「投球動作そのものを改善し、ブラッシュアップしていくこと」だと考えます。

そのためには、現状の自分の投球動作を分析した時にどういう身体の使い方になっているかを知るところから始める必要があります。イメージしている動作と実際の動作がずれていることもありますし、動作そのものが効率的でないこともあります。

ここで注意する必要があるのは「あくまでも動作がどうなっているかを知ることが目的」ということです。投球動作に答えはないので何かと比較してズレているかどうかを探す必要はありません。現状の投球動作を把握した上で何が足りないのか、何が必要なのかを分析して必要な要素を付け足したり、無駄な動作を削ったりしていきます。

筋力

筋力は肩に限らず、全身的に鍛える必要があります。投球動作は全身運動のため下半身の動作により作り出した力を体幹部、そして腕、指先へと伝えていきます。下半身で生み出す力を向上させることで指先へ伝える力を底上げすることが可能となり、結果として球速や肩力の向上へと繋げる要素を増やすことにつながります。逆に言えば、多くの力を受ける手首や指先の筋力が弱ければ、最終的にボールに力を伝える部分でロスができてしまいます。

また、投げる際に振った腕を減速させる能力がなければ思い切って腕を振り切ることはできません。強い力を発揮するのには同時に、その強い力を制御する能力が必要になるのです。とてつもないスピードを誇るスポーツカーに一般車両には考えられないほどのブレーキ性能があるのと同様です。(ここでいう減速する力はある特定の筋肉を指しているわけではありません。各運動局面で筋肉はアクセルにもブレーキにもなり得ます。)

このようなことから1部位のみを鍛えるのではなく、下半身や上半身、大筋群だけでなく必要に応じて必要な部位の筋力強化を図る必要があるのです。

関節可動性

思うような動きを再現するには筋力だけではなく、関節の可動性も必要になります。大きくステップを踏もうにも、内転筋やハムストリングスの柔軟性がなければ脚を開く幅には限界があります。腕を大きく、しなやかに使おうにも胸郭周りの可動性がなければ難しいでしょう。

例えば遠くに投げる、強く投げることを意識すると無意識にフォームは大きくなると思います。外野からのバックホームでゲッツーを取るようなクイックでスナップスローをする人はいないでしょう。大きく力強いフォームを実現するには、単に力任せに投げるのではなく関節の可動性を十分に利用し、効率よく投げる必要があるのです。

一言で関節可動性と言っても制限されている原因は様々です。柔軟性や筋力、姿勢的要素など。そのため可動性のチェックはセルフチェックが難しいため一度専門家に見てもらうことをお勧めします!

全身連動性

ここまで、筋力と可動性について述べてきましたがいくらその2点が向上しようとも、それらを利用できなければ効果はありません。単にトレーニングして筋力が増した、筋肉が大きくなったから球速が速くなるかと言ったらなりません。

必要なのは身につけた体力をいかに上手に使えるようにするかです。これは細かなエクササイズやテクニックも必要にはなりますが、最終的には技術練習でいかに自分の身体に落とし込めるかです。競技練習の時間が少なければ、いくら要素を補っても変化は出づらいです。

自分の体力を補強することで、動作には変化が出るはずです。変化があるということは今まで通りの感覚でやるとズレが生じるということです。変化をプラスに転じるには、細かな修正と長期間の練習による反復が必要となります。部分的に変化をつけたものをつなぎ合わせて全体の修正を図る必要があるのです。

実はこの段階ができない選手が多いです。もちろん基礎体力が足りていない、正しいトレーニングができていない(そのようなことを学ぶ、教えてもらうことのできない環境にある)選手も多いですが。

トレーニングやドリル、コレクティブエクササイズをやって身体が変化していることを実感しているのならば、どうすればそれを活かすことができるかを模索する必要があります。実施前の自分の動作と、実施後の自分の動作でどんな変化があり、その変化がどう影響しているかを分析するようにしましょう!

なかなか難しいことではありますが、活躍する選手や結果を残している選手はそういうことに取り組んでいます。普通に練習して、ただトレーニングをして上達するものではないんです。やろうとしてできないのと、やっていないのでは大きな差が開きます。まずはトライしてみてください!

じゃあ、なんで腱板をトレーニングする必要があるのか

冒頭でも書いたように、腱板自体を鍛えることは必要だと思います。ただ私の場合は、腱板を鍛えるのは球速を上げることや肩力を上げるためではなく、障害予防に重きを置いて行うように指導しています。

肩関節というのは非常に安定性に欠ける関節です。投球動作というのは肩関節に対して非常に速いスピードでの力が加わります。これって肩にとっては非常にストレスのかかる動きなんですよね。そのようなストレスが加わることにより、筋肉は硬くなり防御的な反応を起こします。さらにストレスを加え続ければケガへとつながってしまいます。

そうならないように、肩関節の安定性を高める必要があるのです。そこで必要なのが腱板機能訓練です。1つは関節の安定性を高めるためのトレーニング、もう1つは機能低下している腱板機能を再度賦活するエクササイズです。

腱板のトレーニング

トレーニングは繰り返される投球動作に対して肩関節の安定性を保つために筋持久力を高めることや、1回の外力に耐えれるだけの筋力を発揮することを目的とします。例えば、前述した減速させる機能で言うと腕を振っていく際には、肩に対して外旋筋がブレーキをかけるように働きます。その働きが不十分であれば、肩関節内での正常な関節運動は破綻してしまい、本来かかるはずのないストレスが肩や周辺組織にかかってしまいます。

投手や捕手の場合、投げる球数が100球以上となり他のポジションの選手よりも圧倒的に球数が多くなるため筋持久力も必要となります。そのため、日頃からトレーニングを行うことにより腱板機能を高めておく必要があるのです。

腱板のエクササイズ

ここでトレーニングとの差別化を図ってるのは、あくまでも機能を再獲得するための手段だからです。仮に筋力が十分にあっても、筋肉が短縮していたり、アライメントが乱れていて筋発揮が難しい状態では腱板機能が十分に機能することはできません。

腱板機能が十分に機能しない状態で投球を続けていると、必要以上に関節や筋肉そのものにストレスがかかり痛みを発生させます。時に大きな怪我につながることもあります。そうならないように、自分の持っている機能を発揮しやすくさせるために行うのがエクササイズです。アクティベートドリルやコレクティブエクササイズと呼んだりもします。

具体的には、肩甲骨の位置修正のために広背筋のストレッチや僧帽筋、前鋸筋などの固定筋に刺激を与えるものや、棘下筋や小円筋、間接法のストレッチを行うものなどが挙げられます。筋疲労や姿勢不良で本来の力を発揮できていない状態を改善するようなアプローチをします。これは「アームケア」の記事でも触れたので興味がある方はそちらもあわせて読んでみてください!

まとめ

野球をやっていれば必ずと言っていいほど「インナーマッスルを鍛える」と言う言葉。でも、それ自体は球速をあげる、肩を強くすることに最大限に効果的ではないです。

必要なのは「投球動作を改善、ブラッシュアップすること」です!そのためにはトレーニングをすることで筋力や可動性などの体力向上をはかり、技術に落とし込んでいく必要があります。競技練習に思いきり励むためには、痛みが出ないこと、怪我をしないことが大切です。よくいうインナートレーニングはその怪我をしずらい身体作りに大きく貢献する要素と私は考えています。

もし、球速upや肩力upに取り組んでいる選手がいれば少しでも参考にしてもらえればと思います!

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