初めましての方は初めまして!いつも記事を読んでくださっている方はありがとうございます🙇🏻♂️『あき』です!
暖かい陽気に包まれる季節になってきました。都心では桜が見頃を迎える頃、私の地方では枝に蕾がちらほらというところです🌸
さて、今回は「スポーツトレーニングと理学療法の融合」について語っていきたいと思います。地方のクリニックでは術後患者様や怪我をした患者様がリハビリ継続希望で来院し、復帰までをコーディネートしなければならないケースが多々見られると思います。
しかし、復帰までの基準や指標が明確に決められていないことや客観的指標を評価するためのツールが整っていないのが現状です。そのため、各セラピストやDrの主観的基準で復帰する形となり、十分なパフォーマンス基準に到達しないまま復帰しているケースもしばしば見受けられます。
今回はそういった状況に置かれているセラピストへ向けて、あくまでも私一個人の見解ですがあれこれぼやいていこうと思います。ぜひ最後までご覧ください!
第一は選手の声と現場の声に応える!
選手と自身の距離感・立ち位置を明確に
選手から見たトレーナーやセラピストの位置付けは様々です。「教育者」として見る人もいれば「兄貴・姉御的な近しい関係」と捉えている人もいます。正直この位置付けは関わり方で大きく左右されます。
私一個人としては「近すぎず遠すぎず」が最適解かと考えています。もちろんとても難しいんですが、、汗
現場のリアルと選手の声をいかに引き出すか
上記の関係性を考慮した上で、選手個人の意見と現場のリアルの声を引き出すのがとても重要です。医療サイドが復帰までの指標を提示しても、現場ではもっと早い段階での復帰を求めるケースも少なくはないです。怪我をした選手が主力であればなおさらチームからの離脱期間を最短にとどめたいのは考えるまでもないですね。
しかしながら、怪我や手術によっては最低限必要な期間はあります。加えて復帰を後押しできる根拠と復帰後のコーディネートが必要になります。
そのため怪我から復帰までのプランニングをするには、医療サイドのプランと現場や選手の声をいかに擦り合わせるかがとても重要で、それによって大きく変わってきてます。
理論、根拠を持ったなかで評価する
では、実際にプランニングが決まった後にセラピストがどう治療を進めていくのかです。冒頭で説明したように一般的なプロトコルは決まっているなかで、実際の数的な指標が決まっていないことや数値を測定するツールがないケースがほとんどかと思います。
そういった環境の中で選手を納得させ、十分なパフォーマンスを獲得させるためには知識と経験、それらを支える根拠が必要となってきます。経験を増やすためには疾患数を増やすことに加え実際に現場に出るのが一番だと考えます。
院内で見る選手と、実際の現場で見る選手ではやはりギャップが存在します。現場が求めるものや、そこに適した治療方法は現場で学ぶべきです。ぜひトレーナーとしての活動を行ってみてください!
ノーマルではなくスーパーノーマルを目指す
例えば簡易的な評価としてMMTが挙げられます。検者の最大抵抗に対する筋力があればN・ノーマル(5)として評価されますね。ただスポーツ選手の筋力をMMTで評価することは復帰の指標になるのでしょうか。
急性期からの経過を追う上でMMTを利用する、パフォーマンスチェック前の簡易的スクリーニングでMMTを利用するのはいいと思います。しかし、実際のスポーツ動作において求められる筋力はMMTで測れるものとは全く別なものになります。
ジャンプ→着地動作、カッティング動作や投球動作など様々な局面で多様な収縮形態が求められます。またスポーツの中で求められるのは筋力<パワーであるケースがほとんどです。この「パワー」を養うにはリハビリ内での機能改善に加えてスポーツトレーニングが必要になってきます。
理学療法により外傷後、もしくは手術後に低下した筋力を回復した後にスポーツトレーニングで筋肉量を増やしたり、筋出力を引き上げるなどの組み合わせが効果的になってきます。
そういったアプローチをするにはトレーニング領域、特にストレングス領域の知識をつける必要がありますね。単に機能改善がみられ正常可動域、MMTでノーマルになったから復帰!と位置付けてしまうと再受傷やパフォーマンス低下する可能性が非常に高くなってしまいます。残念なことに、今現在私が勤めているクリニックにはそういう選手がたくさん来院します。
少しでもそのような選手を減らしたい気持ちと、選手たちの復帰の手助けをしたいと思う日々です。
組織の破綻強度や動的ストレス要素を加味して
自身が処方する運動療法に根拠や理論はあるでしょうか?
前述したようにスポーツ復帰の基準にはある一定の指標が決まっているケースはほとんど見られません。しかしながらこれまでのデータから最低限満たされる必要があるものは出てきています。
例えばACL再建術後の筋力を患健比や Q/H比で90%に抑えるなどが挙げられるかと思います。投球時の肘内側にかかる力量と内側側副靱帯の破綻強度は数倍の差があることも言われていますよね。
そのような学術的な側面からの根拠や、動的評価から客観的に証明可能な要素をいかに抽出して治療に落とし込むかが重要です。
トレーニングと理学療法の被る部分からの発展を
トレーニング分野と理学療法の運動療法は似て非なるものです。しかしながらタイトルにある通り融合することで相乗効果が得られるものと考えます。
スポーツには筋の様々な収縮形態が求められると前述しました。運動療法のカリキュラムの中に筋繊維タイプの違いやエネルギー回路の違い、バリスティックトレーニングやエキセントリックトレーニングなどの収縮形態の違いを用いた運動処方などを学ぶかと思います。スポーツトレーニングを考える上でも同様に、競技特性に合わせた収縮形態や運動処方の選択が必要となります。
加えてエキセントリックトレーニングを障害予防の観点で行うことも、機械的伸長刺激として筋肥大として用いることなども例に挙げられます。
ただ、同じ考えや選択で運動処方をするにも機能回復を目標にするのかと機能強化を目的にするのかでは大きな違いが生まれます。そのためケースに合わせての選択的トレーニングが必要となります。同一領域の中で何を目的に行うのかを考えることで選択の幅や知識の幅を増やす機会になると思います。そこでつけた知識をより深めて、自身のセラピストとしての腕を磨き上げましょう。
まとめ
今回は今現在私がクリニック内と実際のスポーツ現場で働いていて必要性を感じる「スポーツトレーニングと理学療法の融合」について述べさせてもらいました。
そういった環境の中で、選手や現場のニーズに応え且つ医療サイドの十分なバックアップを行うために「近すぎず遠すぎず」の関係性を築くことで多方面からの意見や情報を取り入れる。⇨取り入れた意見や情報を十分にすりわせたうえでプランニングし、運動処方をする必要があると考える。
運動処方の中には理学療法分野とトレーニング分野の領域の混在が見られるが、それぞれの知見を掛け合わせて相乗効果を生み出すことが可能となる。ひいては選手のパフォーマンスアップや医療だけでは引き上げられない能力の補填になる。これを「スポーツトレーニングと理学療法の融合」と捉える。
そのために、裏付けとなる知識や経験を増やしていく必要がある!ぜひトレーニング領域の研鑽も行ってみてください!!