とある日に聞こえてきた会話
患者:腰上げをするともも裏がいつも攣るんだよ〜
セラピスト:水分しっかり摂りましょうね!
確かにミネラルの不足による電解質異常で、筋の収縮と弛緩がスムーズにできていないことも考えれるけどそこじゃないでしょ!
なんて思う、今日この頃〜
治療家として、専門職として目の前の事象に対して何が起きているか、どうすれば改善できるかを考える必要があると私は思います。
誰でも言えることを言って、なんとなく治療していてはセラピスト数が飽和していくこれからを生き抜くには厳しいものがあると。
今回はそのフィードバックをした際の内容を書いてみようと思います。
腰上げでなぜハムストリングスがつるのか
よくいう、足が攣る原因ではミネラル不足や循環不良などが挙げられます。
ただ、今回のケースは「腰上げをする時に」ハムが攣るということ。
つまりは、腰上げをする際にハムストリングスが必要以上に収縮をしなければいけない状況を強いられているのではないか、という可能性が考えられます。
身体の後面筋をメインターゲットにして行なっている運動と捉えると、広背筋や大臀筋、下腿三頭筋等も同時に収縮していると考えられます。
他の筋肉がうまく収縮できていことや、運動の開始肢位の影響が考えられます。
- 膝の屈曲角度が浅い
- 腰椎の前彎が強い
上記のような状況では大臀筋が働きづらい、もしくはハムストリングスが優位に働きやすくなってしまいます。
膝の屈曲角度が浅いことや腰椎前弯が増強することで、ハムストリングのレバーアームが長くなります。
膝の屈曲角度が浅いということは、踵の位置(支点)が遠くなるため股関節伸展の力を大きく働かせる必要が出てきます。大臀筋は単関節筋、ハムストリングスは2関節筋のため優位になるのはハムストリングスになるのです。
今度は腰椎の前彎が強いケースです。腰椎が前彎するということは膝に対して坐骨が近位に近づくため、ハムストリングスの筋の長さが引き伸ばされます。これもまた、ハムストリングスに強い収縮力が求められる原因となるのです。
腰上げ(ヒップリフト)をする際の工夫
では、そんな状況を改善するためにはどうすれば良いのかです。
1つは大臀筋が活動しやすい状況を作ることです。
- 大臀筋に収縮が入りやすいように、お尻の穴を閉めるよ
- 膝の屈曲角度を90°以上に設定する
2つは腰椎前彎の増強を抑えることです。上の大臀筋の収縮に加え、臀部挙上時にへそを覗き込むようにしたり、ブレーシングをしたりなど。
そのほかにも、筋温を上げるために準備運動として軽負荷かつ高頻度でレッグカールをする、なんていうのも1つです。
まとめ
自分が処方した運動が適切にできなかった際の対処法を考える癖をつけよう、ということを言いたいだけです。
できないから別な方法でやる、それもひとつの手段です。しかし、なぜできなかったを考えれるかそうでないかでは、運動を分析する能力に大きな差ができます。
その積み重ねがセラピストとしての質を高めると信じて、日々の運動処方、動作分析ができるといいですね。